CF計算書間接法7 of Prominent consulting

キャッシュ・フロー精算表とキャッシュ・フロー仕訳の意味を理解しているか

一般にその意味するところが説明されていないキャッシュ・フロー精算表とキャッシュ・フロー仕訳は、その対象とやっていることを把握しなければならない。

2013-12-10
 今回でキャッシュ・フロー計算書間接法の解説は最終回となります。今回は、キャッシュ・フロー精算表とキャッシュ・フローに関する仕訳について解説いたします。

 実務指針に紹介されている通常の形式のキャッシュ・フロー精算表は、数字が右に行って下に落ち、また右に行くという複雑な行程をたどります。これがいったい何を意味しているのかを適切に説明している書籍は少ないようです。
 また、キャッシュ・フローに関する仕訳についても何の説明もなく提示されているケースが多くいったいこれは何に対する何の仕訳なのか、私はずっと疑問を持っていました。どこにも説明がないため、考え続けて、ようやく結論を得ました。

 結局のところ、精算表と仕訳でやっていることは全く同じことです。それではこの2つは何を対象として何をしているのでしょうか。皆さんはご存知でしょうか?
 精算表と仕訳でやっているのは要するに「差額貸借対照表に対する表示組替仕訳」なのです。
 すなわち、キャッシュ・フロー精算表と仕訳は、差額貸借対照表を対象として帳簿外で仕訳を行い、表示を組替えているのです。仕訳を帳簿外で行うのは、連結仕訳と同じ取り扱い方法です。

 この単純明快なことを理解しないと、精算表や仕訳が何をやっているのかさっぱり分かりません。キャッシュ・フロー精算表では、まず差額貸借対照表を作成し、これを縦方向に原因別の要素に分解し、キャッシュ・フロー計算書で表示したい科目名に変更(=表示組替)して集計しているのです。

 これは今まで説明してきたことそのものです。キャッシュ・フロー精算表において減価償却費として集計されるものの元の属性は固定資産等の減少額です。元の属性のままでは表示に適さないため、増減原因に関わらせて名前を「減価償却費」に変更しているのです。ここで注意するべきは、「減価償却費」は損益計算書の減価償却費から持ってきたのではないということです。

 一般的な書籍の説明では、減価償却費などの「非資金損益項目」は、キャッシュ・フローを伴わない損益項目であるから、これを足し戻して調整すると説明されていますが、この説明では論理一貫したキャッシュ・フロー計算書間接法の理解は不可能です。部分的になんとなく理解できても、全体を理解するためには妨げとなります。全体を理解できないと処理も誤ってしまいます。

 これまでシリーズで説明してきた内容を簡潔にまとめると以下のようになります。

間接法によるキャッシュ・フロー計算書とは差額貸借対照表そのものであり、勘定科目の増減はキャッシュと直接取引をしたものとみなし、これを原因別の要素に分解し科目名を振替え、区分して並び替えたものである。

 書籍ではないため、ここでは考え方のエッセンスだけを紹介いたしました。論理一貫した理解のためには、まず一般的な考え方を捨てて、発想を転換する必要があります。このシリーズが、理解しにくいキャッシュ・フロー計算書間接法の理解に役立ったのであれば幸いです。
 最後にシリーズの第1回目で提示した、発想を転換するために必要な前提を確認して締めくくりたいと思います。

  • 間接法は、表示方法だけではなく作成方法そのものを指している。
  • 間接法でキャッシュ・フロー計算書を作るためには、特定の勘定科目の増減はキャッシュと直接取引が行われたとの仮定が必要である。
  • キャッシュ・フローと勘定科目の増減(差額)の関係は、損益計算書を通して理解してはいけない。
  • 勘定科目の増減(差額)は原因別の要素に分解されて、区分ごとに表示される。「営業活動によるキャッシュ・フロー」の表示は投資活動及び財務活動、為替換算差額から決定される。
  • 「非資金損益項目」という概念は混乱を招くので不要である。
  • 実際にはキャッシュ・フローを伴わない要素の増減(差額)で、反対要素の増減と相殺できるものは相殺する。

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